SNMPとは?仕組みや監視できるもの、メリットをわかりやすく解説
企業のネットワークでは、ルーターやスイッチ、サーバー、無線LAN機器など、さまざまな機器が稼働しています。
こうした機器に問題が発生すると、インターネットにつながらない、社内システムを利用できないといった業務への影響につながる可能性があります。
そこで重要になるのが、ネットワーク機器の状態を継続的に確認する「ネットワーク監視」です。
そのネットワーク監視で広く利用されている仕組みのひとつが「SNMP」です。
この記事では、SNMPとは何か、どのような仕組みでネットワークを監視しているのか、
SNMP監視のメリットや注意点まで、ネットワークに詳しくない方にも分かりやすく解説します。
この記事のポイント
01|SNMPの基本がわかる
SNMPとは何か、SNMP監視がどのような仕組みで
ネットワーク機器の状態を取得しているのかを解説します。
02|監視できる情報がわかる
機器の稼働状態や通信量、CPU・メモリ使用率、ポート状態など、
SNMPで監視できる代表的な情報を紹介します。
03|導入時のポイントがわかる
機器の稼働状態や通信量、CPU・メモリ使用率、ポート状態など、
SNMPで監視できる代表的な情報を紹介します。
SNMPとは
SNMPとは「Simple Network Management Protocol」の略で、ネットワークに接続された機器の状態を確認・管理するための通信ルールです。
ルーターやスイッチ、サーバーなどから、機器が正常に動いているか、通信量がどのくらいあるか、
CPUやメモリがどのくらい使用されているか、ネットワークポートが正常に動いているかといった情報を取得できます。
ネットワークには、メーカーや種類の異なる多くの機器が接続されています。
それぞれの機器を個別の管理画面から確認するのは大変ですが、
SNMPに対応している機器であれば、SNMP監視ツールからまとめて状態を確認できます。
つまりSNMPは、さまざまなネットワーク機器の状態を共通の方法で確認するための仕組みと考えると分かりやすいでしょう。
SNMP監視とは
SNMP監視とは、SNMPを利用してネットワーク機器から情報を取得し、機器の状態や通信状況を継続的に確認することです。
例えば、社内に20台のネットワーク機器が設置されている場合、それぞれの機器へ定期的にログインして状態を確認するのは大きな負担になります。
また、監視を行っていなければ、障害が発生してから利用者の問い合わせによって問題に気付くこともあります。
SNMP監視ツールを利用すると、ネットワーク機器の状態を一定間隔で自動的に取得できます。
「通信量が急激に増えている」「CPU使用率が高くなっている」「ネットワークポートが停止した」といった変化を
継続的に確認できるため、異常の早期発見につなげることができます。
監視ツールによっては、設定したしきい値を超えた場合にメールなどで管理者へ通知することも可能です。
そのためSNMP監視は、単に機器が動いているかを確認するだけでなく、
ネットワークの状態を継続的に把握し、トラブルの兆候を発見するための仕組みとして利用されています
SNMPの仕組み
SNMPによる監視では、大きく「SNMPマネージャー」と「SNMPエージェント」という2つの役割があります。

SNMPマネージャー
SNMPマネージャーは、ネットワーク機器を監視する側です。
一般的には、ネットワーク監視ツールや監視サーバーがSNMPマネージャーの役割を持っています。
SNMPマネージャーからネットワーク機器に対して、
「現在の通信量を教えてください」「CPU使用率を教えてください」といった問い合わせを行い、必要な情報を取得します。
SNMPエージェント
SNMPエージェントは、監視されるネットワーク機器側で動作する機能です。
ルーターやスイッチなどが自身の状態を管理し、SNMPマネージャーから問い合わせを受けると、
「CPU使用率は35%です」「ポート1は正常に動いています」といった情報を返します。
このように、SNMPマネージャーから問い合わせを行い、SNMPエージェントが状態を返すという通信を繰り返すことで、
ネットワークの状態を監視します。
一定間隔で機器へ問い合わせる方法を「ポーリング」と呼びます。
一方で、機器側に異常や状態変化が発生した際に、機器から監視ツールへ自動的に通知する仕組みもあり、
その代表的なものが「SNMP Trap」です。
例えばネットワークポートが突然停止した場合、次のポーリングを待たずに機器から監視ツールへ情報を送ることができます。
SNMP監視では、こうした定期的な状態確認と、機器側からの異常通知を組み合わせて監視することが一般的です。
MIBとOID
SNMPを理解するうえでは「MIB」と「OID」という言葉もよく登場します。
MIBは、ネットワーク機器から取得できる情報を整理した仕組みで、その中の各監視項目を識別するために使われる番号がOIDです。
例えば、「機器の稼働時間」「特定ポートの通信量」「インターフェースの状態」など、
それぞれの情報に対応するOIDがあります。SNMPマネージャーは、このOIDを指定してネットワーク機器から必要な情報を取得しています。
SNMPで監視できるもの
SNMPで取得できる情報は、機器やメーカーによって異なります。
代表的には次のような情報を監視できます。

機器の稼働状態
ルーターやスイッチなどが正常に稼働しているかを確認できます。
機器の稼働時間などを取得することで、意図しない再起動が発生していないかを確認することもできます。
ネットワークポートの状態
スイッチなどに搭載されている各ポートについて、正常に通信できる状態なのか、停止しているのかを確認できます。
ネットワーク障害が発生した際に、どのポートで問題が起きているのかを確認する手掛かりになります。
通信量
ネットワーク機器を通過しているデータ量を取得できます。
継続的に取得してグラフ化することで、
「いつもより通信量が増えている」
「特定の時間帯だけネットワークが混雑している」
といった変化も確認しやすくなります。
CPU・メモリ使用率
対応している機器であれば、CPU使用率やメモリ使用率なども監視できます。
CPU使用率が長時間高い状態になっている場合など、機器に負荷がかかっている可能性を把握できます。
エラー情報
通信エラーやパケットの破棄数などを取得できる機器もあります。
単純に「通信できる・できない」だけでは分からないネットワーク品質の変化を確認する際にも役立ちます。
温度・電源・ファンなどの状態
機器によっては、温度や電源、冷却ファンなどのハードウェア情報もSNMPで取得できます。
このようにSNMPでは、単純な死活監視だけではなく、ネットワーク機器のさまざまな状態を数値として取得し、継続的に監視することができます。
SNMP v1/v2c/v3の違い
SNMPには複数のバージョンがあり、現在主に利用されているのが「SNMPv1」「SNMPv2c」「SNMPv3」です。
基本的な役割は同じですが、機能やセキュリティ面に違いがあります。
| バージョン | 特徴 | セキュリティ |
|---|---|---|
| SNMPv1 | 初期のSNMP。古い機器でも対応している場合が多い | 低い |
| SNMPv2c | v1を改良し、より効率的に情報を取得できる | 低い |
| SNMPv3 | 認証や暗号化などのセキュリティ機能を強化 | 高い |
SNMPv1とSNMPv2cでは「コミュニティ名」と呼ばれる文字列を利用してアクセスを制御します。
設定が比較的簡単で、多くのネットワーク機器が対応している一方、
通信内容を暗号化する仕組みを持っていないため、利用するネットワークやアクセス元の制限には注意が必要です。
SNMPv3では、ユーザー認証や通信内容の暗号化など、セキュリティ機能が強化されています。
新しくSNMP監視環境を構築する場合は、監視対象機器と監視ツールの双方が対応しているのであれば、SNMPv3の利用を検討するとよいでしょう。
ただし、SNMPv3は設定によってセキュリティレベルが異なります。
SNMPv3を使用しているだけで必ず通信が暗号化されるわけではないため、認証や暗号化の設定内容も確認することが重要です。
SNMP監視のメリット
SNMP監視を導入すると、ネットワーク管理にさまざまなメリットがあります。
ネットワーク機器をまとめて監視できる
SNMPに対応していれば、メーカーや機器の種類が異なっていても同じ監視ツールから情報を取得できます。
ルーター、スイッチ、サーバー、UPSなどを一元的に監視できるため、それぞれの管理画面を個別に確認する手間を減らすことができます。
障害を早く発見しやすくなる
ネットワークを監視していない場合、
「インターネットにつながらない」
「システムが遅い」
といった利用者からの問い合わせによって、初めて異常に気付くケースがあります。
SNMP監視によって機器の状態を継続的に確認していれば、異常が発生した段階で管理者が気付ける可能性が高くなります。
障害の原因を調査しやすくなる
ネットワーク障害が発生した場合、原因となっている機器や場所を特定する必要があります。
複数のネットワーク機器を監視していれば、
「このスイッチまでは正常」
「このポートから通信できていない」
といった情報を確認できるため、原因の切り分けを行いやすくなります。
過去の状態を確認できる
監視ツールにSNMPで取得したデータを保存しておけば、過去の通信量やCPU使用率などを確認できます。
現在は正常でも、
「毎週月曜日の午前中だけ通信量が増えている」
「数か月かけて少しずつ通信量が増加している」
といった傾向を把握することもできます。
障害対応だけでなく、ネットワーク設備の増強を検討する際の判断材料としても活用できます。
SNMP監視の注意点
便利なSNMP監視ですが、導入するだけですべてのネットワーク障害を検知できるわけではありません。
いくつか注意しておきたいポイントがあります。
SNMPに対応している機器である必要がある
特にSNMPv1やSNMPv2cでは、アクセス制御に利用するコミュニティ名を適切に管理する必要があります。
可能であれば監視サーバーからの通信だけを許可するなど、ネットワーク側でもアクセス元を制限すると安全性を高められます。
また、監視目的だけで利用する場合は、機器の設定を変更できる権限を与えず、読み取り専用で利用することも重要です。
セキュリティ設定が必要
特にSNMPv1やSNMPv2cでは、アクセス制御に利用するコミュニティ名を適切に管理する必要があります。
可能であれば監視サーバーからの通信だけを許可するなど、ネットワーク側でもアクセス元を制限すると安全性を高められます。
また、監視目的だけで利用する場合は、機器の設定を変更できる権限を与えず、読み取り専用で利用することも重要です。
監視間隔を短くしすぎない
SNMPでは、監視ツールから機器へ定期的に問い合わせを行います。
監視対象が多い環境で極端に短い間隔で大量の情報を取得すると、監視サーバーやネットワーク機器への負荷が大きくなる可能性があります。
重要な項目は短い間隔、それほど頻繁に変化しない項目は長い間隔にするなど、監視内容に応じて調整するとよいでしょう。
SNMP Trapだけに頼らない
SNMP Trapを利用すると、機器から異常を通知できます。
しかし、機器そのものが停止した場合やネットワークが切断された場合には、通知自体を送信できない可能性があります。
そのため、SNMP Trapだけに頼るのではなく、定期的なポーリングによる監視と組み合わせることが重要です。
SNMP監視ツールの選び方
SNMP監視を実際に行うには、ネットワーク監視ツールを利用するのが一般的です。
監視ツールを選ぶ際には、「SNMPに対応しているか」だけでなく、実際の運用方法まで考えて選ぶことが重要です。
監視したい機器に対応しているか
まず確認したいのが、使用しているネットワーク機器を監視できるかどうかです。
標準的なSNMP情報だけでなく、メーカー独自のMIBに対応できるツールであれば、より詳細な情報を監視できる場合があります。
SNMPv3に対応しているか
セキュリティを重視する場合は、SNMPv3への対応も確認しておきましょう。
現在SNMPv2cを利用している場合でも、将来的にSNMPv3へ移行する可能性を考えて選ぶ方法もあります。
異常を分かりやすく確認できるか
大量の数値が表示されるだけでは、ネットワークに問題が発生した際にどこを確認すればよいのか分かりにくくなります。
正常・警告・異常などの状態が分かりやすく表示されるか、ネットワーク全体の状態を一目で確認できるかといった、画面の見やすさも重要です。
通知機能が充実しているか
監視ツールを常に見続けることは現実的ではありません。
異常発生時にメールなどで通知できるか、通知条件を細かく設定できるかを確認しましょう。
「CPU使用率が一定値を超えた場合」
「ネットワーク機器が応答しなくなった場合」
など、状況に応じて通知条件を設定できると運用しやすくなります。
履歴やグラフを確認できるか
現在の状態だけでなく、過去の状態を確認できることも重要です。
通信量やCPU使用率などをグラフで確認できれば、ネットワークの利用状況や負荷の変化を視覚的に把握できます。
導入・運用しやすいか
ネットワーク監視は導入して終わりではなく、継続的に利用するものです。
そのため、高度な機能の多さだけではなく、
「監視対象を簡単に追加できるか」
「設定変更が分かりやすいか」
「障害発生時に必要な情報をすぐ確認できるか」
といった日常的な使いやすさも重要な選定ポイントになります。
まとめ
SNMPは、ルーターやスイッチ、サーバーなどのネットワーク機器から状態を取得し、監視・管理するための通信ルールです。
SNMP監視を利用することで、機器の稼働状態だけでなく、
通信量、ネットワークポート、CPU・メモリ使用率、エラー、温度など、さまざまな情報を継続的に確認できます。
複数の機器を一元的に監視することで、ネットワーク障害の早期発見や原因調査、将来的な設備増強の判断にも役立ちます。
一方で、SNMPに対応している機器や取得できる情報は製品によって異なり、SNMPv1やSNMPv2cを利用する場合にはセキュリティ面にも注意が必要です。
SNMP監視ツールを選ぶ際には、単に情報を取得できるだけではなく、
ネットワーク全体の状態を分かりやすく把握でき、異常が発生したときにすぐ気付けるかという視点で比較するとよいでしょう。
ネットワークが業務に欠かせない現在では、「問題が起きてから調べる」のではなく、「普段からネットワークの状態を把握しておく」ことが重要です。
SNMP監視は、そのための代表的な仕組みのひとつです。

